修士学生による応用プログラムの集大成 最終講評会が開催されました
修士学生による応用プログラムの集大成
最終講評会が開催されました
九州大学人間環境学府の修士2年生が取り組んできたBeCAT応用プログラム。
当プログラムでは、自ら社会実装プロジェクトに関わり、研究発表を行うことで、研究力・企画設計力・マネジメント力を身につけることを目標とし、今年度は6名の学生が取り組んできました(内1名辞退)。
1年間を通して、取り組んできたプロジェクトと研究の集大成として、2月16日に最終講評会が行われました。
発表者01
仮屋翔平「Log Fence −(仮)で木材を乾かす−」
BeCAT x アスミオ.
建設に使用される木材は一般的に大規模な製材所で重油により人工乾燥され、多くのCO2を排出している。また伐採した森から製材所、そして工事現場への輸送コストも発生する。このプロジェクトでは、福岡市地下鉄七隈線の終点である橋本駅前に新しく建設されるアスミオ.本社ビルに、工事中の仮囲いとして木材の自然乾燥を兼ねたアーバンファーニチャーを提案した。街に背を向けていた仮囲いが、木材を乾燥させながら市民を迎える新しい場所を生み出している。


発表者02
芝輝斗「Urban Soil Life」
BeCAT x 三井化学株式会社
建築時に発生する建設残土の問題と都市部における土離れをテーマに、土と樹脂を用いた新たな建材の開発に取り組んだプロジェクト。土と熱可塑性エラストマーや発泡ウレタン、ポリプロピレンなどの樹脂をコンパウンドし、質感や施工性、強度などの検討を重ねた。建材として様々な利用例を検討したのち、都市部のベランダに庭をつくるSoil Carpetを制作。実際にベランダにモックアップを作成し、土の特徴である蓄熱性、保水性のある新素材の可能性を示した。


発表者03熊丸修二「Bamboo Flex −セルフビルドで耐力壁を編む−」
BeCAT x 杉能舎
酒蔵の改修において、建て替えでも大規模な補強工事でもなく、身の丈に合ったフレキシブルな交換可能な補強方法として、割竹を六つ目編みに編んだ耐力壁パネルを提案したプロジェクト。古民家や蔵などの耐震性の課題と、放置竹林の課題という2つの社会背景に取り組んだ。意匠性・施工性・強度・コストなどを多角的に検討した割竹パネルを市松に設置することで、改修予定の槽蔵に壁倍率1程度の耐力壁の計画を目指した。


発表者04
大長武志・中山輝「Rain Catcher -渇水地域支援のための自立型水回りユニット建築の開発-」
BeCAT x 株式会社 大建
ネパール・カトマンズに持続可能な水回りユニットを設置し、生活用水不足と衛生問題に対応するプロジェクト。漏斗型の屋根と、株式会社大建が特許をもつ雨水貯留システム「ためとっと」の仕組みを利用したタンクを組み合わせることにより、雨水による自立型の水回りユニット建築を開発した。雨水のトイレやシャワーへの利用だけでなく、陶器製気化冷却ルーバーを組み合わせることで、建物自体の気化冷却効果をもたせた。ユニットはパッケージ化して40フィートコンテナで輸送することが可能であり、様々な渇水地域で利用されることが期待できる。


発表者05
成枝大地「組狐庵 -KUMIKOAN-」
BeCAT x 糸島空き家プロジェクト
お祭やイベント、避難所などで利用されるパイプテントのような利便性を、木造仮設建築のデザイン性と両立しながら、運搬・解体が容易で繰り返し使える木造仮設建築の設計施工に取り組んだプロジェクト。
小断面の流通木材を使用し、ラッシングベルトをテンション材として利用する片持ちポストテンションアーチ架構を考案した。少人数で運搬・組立可能であり、学園祭や展示会に出展した。


それぞれの発表後、センター長賞を決めるための審査が行われました。どのプロジェクトも内容が濃く、甲乙つけがたいものでしたが、環境問題を解決し、実験や試作を繰り返しながら、実作まで遂行したことに評価を得た大長武志さんと中山輝さんが、第3回応用プログラムセンター長賞に選ばれました。

卒業後も、今回の応用プログラムで得た経験を活かして活動されることを期待しています。
BeCAT応用プログラム最終講評会
2025年2月16日 13時〜15時45分
伊都キャンパスイースト1号館A-215教室
講評教員
重松象平(BeCATセンター長)
末廣香織(BeCAT副センター長)
末光弘和(BeCATデザインラボ長)
吉良森子(BeCAT担当教授)
百枝優(BeCAT担当教員)
住吉大輔(環境系教員)
2024年度 BeCAT応用プログラムスケジュール
・2024年4月12日 企画コンテスト
・2024年10月12日 中間プレゼンテーション
・2025年2月16日 最終講評会
参加学生
仮屋翔平 芝輝斗 熊丸修二 大長武志 中山輝 成枝大地
