1. HOME
  2. REPORT
  3. BeCAT 2024秋冬学期デザインスタジオ|最終講評会報告

BeCAT 2024秋冬学期デザインスタジオ|最終講評会報告

REPORT

BeCAT 2024 秋冬学期デザインスタジオ|最終講評会報告

2024studioC

BeCAT Programでは、2024年度後期の修士学生に向けたデザインスタジオを開講しました。後期のスタジオも前期から引き続き、持続可能な社会を目指してリサイクルの事業を行う株式会社Green Propと協働し、解体現場の見学を行い、建築廃材を活用した循環型の建築システムについて、2チームの学生(計5名)が発表しました。

テーマ「Design a Circular Network for Construction waste」
建築廃材のサーキュラーネットワークをデザインする


リサーチ、デザイン、レクチャーを組み合わせて、廃材をめぐる世界の状況を学びながら、 日本で現在大量に建設されている建売住宅をもとに、福岡・糸島を対象にサーキュラーネットワークと廃材を使った建物・場・家具などをデザインします。

前提として下記のような持続可能な建築を目指すこと。
・廃材を再利用する建築
・廃材を出さない建築
・地産地消の建築
・生分解可能な建築(材料)
・解体できる建築


第1案
NOKONOSHIMA:THE ISLAND OF RENWAL TRANSFORMING WASTE INTO THE MAIN ATTRACTION OF NOKONOSHIMA
Coline CHEVALIER, Dorian HOMONNAY, Maruyama NOBUYUKI

「島」での廃材の循環に着目した提案。博多湾に浮かぶ全周約12kmの能古島をモデルに、島内に放置された空き家をリサーチし、そこで得られそうな廃材を利用した水上ホテルとリサイクルセンターを提案しました。

studio2024aw


先生方からは、島をモデルにすることで、建設材料の運搬コストを削減できるほか、持続可能な地域開発として島自体をエコツーリズムの拠点としての付加価値を高めることができるなどの視点が評価されました。デザインについては不均質な廃材を包括するには合理的でない部分が多く、より具体的な検証が求められました。


第2案
Circular Network for Construction Waste 
Mori Sota, Yein Lee

建築廃材の多くが再利用されることなく破砕・焼却されている現状を踏まえ、解体材を新たな建築資材として活用する「束柱ユニット」を提案しました。異なるサイズの木材をスチールプレートを用いて束ねて活用するこのユニットにより、糸島エリアの農業倉庫やカフェ、住居の拡張など様々な場所での活用方法を提案しました。

studio2024aw


先生方からは、シンプルな構造で実現の可能性が高いとの評価の一方で、廃材の長さの違いを許容する柔軟性を取り入れるためのデザインについての議論が飛び交いました。


今回のスタジオでは、実際に三和興業さんが廃材レスキューをしている解体中の住宅の見学をさせていただきました。ひとつひとつの廃材を得るには手間のかかる丁寧な解体作業が必要であり、貴重な現場を見せていただきました。

また以下のレクチャーも開催されました。
2024.11.20
・Rebuilding center / Japan
Sale of old materials and antiques 古材・古道具販売

2024.12.4
・Kraaijvanger / Netherlands
Reused 99.2% of the original building for the expansion and renovation of the city hall 市庁舎増改築に元の建物の 99.2% 再利用

studio2024aw


今回のスタジオで学んだ建築廃材を「資源」として捉え、新たな建築の可能性を追求する視点を、今後のプロジェクトなどにも活かしてほしいです。


2024年度 秋冬学期都市デザインスタジオ最終講評会
日程|2024年12月24日(授業期間:10月15日〜12月24日)
   会場|九州大学イースト一号館コミュニティラーニングスペース(CLS)
対象|九州大学人間環境学府の大学院生
受講数|廃材スタジオ5名
参加教員|重松象平、末廣香織、末光弘和、吉良森子、百枝優
設計助手|福田哲也、井田久遠
協力|Green prop、三和興業

報告|BeCAT設計助手 井田久遠 梅崎真理子

RELATED ARTICLE