企業と大学が共につくる「実践の教育」ーアスミオ. 株式会社との協働から
企業と大学が共につくる「実践の教育」ーアスミオ.株式会社との協働から
企業からの寄付を、BeCATでは単なる資金面での教育支援としてではなく、教育と実社会を接続するための「実践の起点」と捉えています。
そこで、九州大学BeCATと福岡を拠点とするアスミオ.株式会社との協働を例に、学生の学びがどのように企業の実プロジェクトに接続され、さらにまちへとひらかれていったのか、そのプロセスを紹介します。
CASE_01|福岡の総合建設会社 アスミオ.株式会社

アスミオ.株式会社は、福岡を拠点に土木・建設を通じて都市や地域の基盤づくりに関わってきた企業です。
九州大学BeCATへの寄付は、次世代を担う学生とともに、これからの建築や都市のあり方を実践的に考える機会をつくることを目的として行われました。
BeCAT STUDIO 2023|学生と企業で考えた「まちにひらく本社ビル」

アスミオ.株式会社が福岡市営地下鉄橋本駅前に建設を予定している本社ビルを題材に、BeCATの設計スタジオにおいて、学生が教員と一緒に業務のための器としてのオフィスではなく、企業と地域との関係をどのように建築として表現できるかを主題に検討しました。
スタジオは、社員と学生がともに先進事例を視察し、視点を共有するところから始まりました。
単なる業務の場としてのオフィスではなく、周辺のまちにどのように寄与できるか、企業と地域との関係性をどう建築に表現できるかをテーマに、複数の提案が生まれました。
スタジオの成果は、本社にて社員のみなさまに向けてプレゼンテーションとして発表され、学生にとっては実務の視点を学ぶ貴重な機会となりました。

BeCAT PROJECT 2024/2025|修士プロジェクトによる2つの提案
本取り組みでは、修士学生による研究・設計プロジェクトとして、アスミオ.が所有する森林の木材を活用した提案も行われました。
2024年には、工事中の仮囲いを単なる安全対策としてではなく、「木材を乾燥させながら、まちの人の居場所にもなるファーニチャー」として活用する提案です。まちに背を向けていた工事中の仮囲いを、木材の乾燥プロセスと市民の滞在空間を兼ねるアーバンファーニチャーとして捉え直す提案が行われました。

2025年には、森林の大断面木材をコンクリートの型枠として利用する提案です。建設プロセスそのものを再考し、環境面・技術面の双方から新たな設計の可能性を検討する試みとなりました。

提案から実装へ
学生と教員による設計スタジオでの検討は、アイデア提案にとどまらず、建築家教員が引き継ぎ現在進行中の本社ビル計画において、設計検討の視点のひとつとして共有されています。
スタジオで社員のみなさんと議論し、それを元にブラッシュアップされた案は、協力会社とともに実施設計として進められており、今後の計画に向けた検討が進められています。
学生の発想が現実の建築へと着々と近づいています。
また、本社ビルの完成後も、建物内で使用する家具づくりなど、さらなる協業が予定されています。

本取り組みは、企業からの寄付が学生の学びを深めるだけでなく、教育と実社会を接続する実践へと展開しうることを示すひとつのケースです。
九州大学BeCATでは今後も、教育と実践を往還するプロジェクトを通じて、企業や地域とともに、建築・都市の新しいあり方を探っていきます。