BeCAT 2025春学期デザインスタジオ|最終講評会報告
2025春学期デザインスタジオ|最終講評会報告
BeCAT Programでは、2025年度前期の修士学生に向けたデザインスタジオを開講しました。
|課題概要|
本スタジオでは、福岡市西区を拠点に土木から建築まで広域な事業を展開するアスミオ.株式会社と協同し、九州大学伊都キャンパス内に建設予定のアスミオ.都市建築共同実験施設のデザイン計画を行いました。
|⽬標|
・工学部建築学科、人間環境学府都市共生デザイン・空間システムの教員、学生が施工実験・試行建設、研究、交流などに利用できる、多目的実験施設を計画する。
・建築系の学生だけでなく、人環、土木、農学、芸術工学など他分野の学生も共同で利用できる場所のアイデアと空間のイメージを作成する。
・長期的な視点で、建築学生のセルフビルドによって仮設的に空間を更新できる仕組みを考え、モックアップをデザインする。コンクリート廃材などの廃棄物や未利用材の活用も検討する。→ 夏学期へ継続
最終的に3つのグループに分かれてプレゼンをしました。
最優秀案:
NESTA-NEST FOR ECOLOGICAL STUDY&TRANSFORMATION ATELIER

対象敷地を読み込み、人の流れはそこまで多くはないが、他分野の車両や構造実験棟への資材を搬入するトラックが行き来していることに着目。構造実験棟から出る廃材や、日当り、非空調空間であることを考慮して環境的な要素を計画に反映させました。

コンセプト
1. 車両の往来や回転半径を考慮してボリュームを決める
2.日射を取得しやすい西側に集熱塔をつくる
3. 屋外スペースを設け、建物を周囲にひらく

工房の大空間は非空調が想定されており、環境的な負荷を減らすために、西側に集熱塔を計画。屋根のトラス部分を空気層としました。
【夏の場合】
煙突効果により西側の塔へ空気を抜くことで、ゆるやかな空気の流れを生み出し、工房内に穏やかな室内環境を作ります。屋根トラスの空気層は断熱層となり、工房空間への熱負荷を減らすことができます。
【冬の場合】
対象敷地の大部分は、日射が届かないですが、西側は構造実験棟の高さが低いため、日射を確保することができます。そこに集熱塔を建て、温水パネルを設置・集熱し、工房に循環させます。また、集熱塔の南面には、コンクリート廃材を活用してできた蛇籠壁を設置します。熱容量の大きいコンクリートで温められた空気を大空間に吹き出し、さらに暖をとるために薪ストーブも設置します。


また構造実験棟や農園、キャンパスの木々から手に入る「木材」と、構造試験で使用される「コンクリート」の供試体を用いて建物内で利用される仮設的な家具をセルフビルドで製作します。
使用しにくい木材や傷んだものを冬場に薪ストーブの材料として燃やすことで、資源循環を促しつつ、電気を用いずに暖をとることができます。

木造トラスで大空間を実現します。構造的に生まれた2階の廻廊部分は BeCATのギャラリーとして機能します。

様々な活動が展開されていることを示すシーンパース。

断面図

集合写真
第2案
衣替えする工房
構造実験棟から出る端材の規格を揃えて保管し、使用したいときにすぐに使えるようにするストック式工房。
外壁や建具、蛇腹状の内壁を可動にすることで、多目的な利用を促している提案でした。

第3案
Passive Wooden Roof
日射や通風などの条件をリサーチし、形状最適化を行い、夏の日射の最小化、冬の日射の最大化を目指したものです。
学生が施工可能なHPシェルによって屋根が形成される提案でした。

これらの提案を元に、実際に構造実験棟の実現に向けて計画が動き出します。 また春学期の案をベースに夏学期ではさらに竣⼯時に「つくり切る部分」と竣⼯後にも使い⼿が変化させていく「つくり切らない部分」に分けるアイデアを考え、 1/1 の仮設構築物(モックアップ)の設計と製作を行いました。 その様子はまたアップしますので、楽しみにお待ちください。
2025年度 春学期都市デザインスタジオ最終講評会
日程|2024年6月3日(授業期間:4月15日〜6月3日)
会場|九州大学イースト一号館コミュニティラーニングスペース(CLS)
対象|九州大学人間環境学府の大学院生や、留学生
受講数|20名
参加教員|重松象平、末廣香織、末光弘和、吉良森子、出水文二、百枝優
設計助手|楠元彩乃、井田久遠
報告|BeCAT設計助手 楠元彩乃