BeCAT 2025秋学期企画提案スタジオ|最終発表レポート
BeCAT 2025秋学期企画提案スタジオ|最終発表レポート
2025年度秋の本スタジオでは、修士1年生と留学生を対象に、BeCAT 応用プログラムへの展開を見据えながら、学生自身が身近な社会課題を発見し、建築・都市の視点からその解決方法を構想・提案することが求められました。
大切にされた理念は、以下の3つです。
1) Art と Technology を結びつけて、新しい環境建築の研究を行う
2) 大学での様々な研究内容を融合させ、九州をフィールドとして社会実装する
3) Act Local / Think Grobal で持続可能社会における建築とコミュニティの姿を再定義する
プロジェクトには、以下の2 タイプがあり、学生自身で選択可能としました。
①学生自ら、社会の中で課題を探してくるもの
②BeCAT 側で用意するプロジェクトから選択するもの
さらに本スタジオでは、設計提案にとどまらず、各プロジェクトでの資金調達についてクラウドファンディングの実施を目指すことが課せられました。社会課題に対する提案を「社会が必要とするプロジェクト」として検証・発信するために、学生には、企画力・分析力・プレゼンテーション力を統合的に高めることが期待されました。
2026年1月8日に行われた企画提案会を兼ねた最終講評会には、関係企業や団体をはじめ、BeCATの活動に興味を持ってくださった方達にお集まりいただき、6チームがプレゼンテーションを行いました。

提案1|BeCAT × 宗像みあれ芸術祭
海洋プラスチックを価値あるものに変える技術で「海を救い、街を豊かにする建築」を創る
シュレスターアカシ、海江田利純、中筋美沙、Xu Yifan

宗像市の海岸に漂着する海洋プラスチックを回収し、パネル化することで建築資材として再利用する提案です。パネル化されたプラスチックゴミは、2026年の「宗像みあれ芸術祭」において、バス停やベンチへと加工し、地域を彩る風景へと変えることを目指します。
講評では、アート作品としてのメッセージ性が評価される一方、社会実装に向けた「採算ライン」や「継続性」の確保、およびプラスチックの特性を活かしたデザインのさらなる追求が指摘されました。
提案2|BeCAT × 三菱地所
天神17計画を踏まえた社会実験 -都市の隙間を彩るモビリティ-
Julie Dinvaux、O’Linka-Divine Ibovi、南天馬、伊藤己織

福岡・天神の再開発エリアにおいて、仮囲いで用いられているCLTを再利用した移動式ユニットを作成し、道路空間を歩行者中心の魅力的な場所へ変える実証実験を行う提案です。福岡の象徴でもある屋台を参照し、福岡に馴染みのあるデザインで飲食だけでない多様な用途で、歩行空間を滞在空間へと変容させます。
講評では、道路空間活用の質を高める試みとして期待が寄せられました。一方で、空間全体の活用法や、誰がどのように運営・管理するのかという仕組みの設計を深める必要があるとの助言がありました。
提案3|BeCAT × 九州大学農学部演習林
九州大学農学部の演習林の中に住民参加型で作る都市公園 -移動式カフェが開拓する都市公園-
櫻木涼太、中村廉、Georg Skeide Skipnes、Jonas Taleman、Lea Michelle Loevvik

生の松原の国定公園に、一年ごとに移動するカフェを起点とした住民参加型の地域活性化を提案しました。既存の獣道を活かし、カフェが松林の中を移動していくことで、放置されがちな森林に新たな人の流れとコミュニティを生み出すことを目指します。
講評では、デザインの解像度を上げ、参加者が共感して応援したくなるようなシンボリックな形態や仕組みの構築が求められました。
提案4|BeCAT × ATELIER-GALLERY Share Architecture
建築保存の持続可能な循環をめざして
大池岳

歴史的価値のある建築を保存するために、建物用途をコンバージョンし、宿泊施設やコワーキングスペース、さらにトレーラーハウスを活用したショップを計画する提案です。維持管理コストが増大する名作住宅を、文化的な「商い」によって守り続けるモデルを、ハード面とソフト面の両側から構築します。
講評では、既存建物の価値を読み解くサーベイは評価されましたが、ハードでの解答が移動可能なトレーラーハウスとなった必然性や、地域の厳しい冬の環境を踏まえた集客・経営戦略の甘さが指摘されました。
提案5|BeCAT ×糸島空き家プロジェクト
森の「時間」を、糸島の「誇り」へ -規格から外れた巨木と歩む循環型ワイナリーへの挑戦-
Emile Vertriest、シュレスターアカシ、海江田利純

利活用が進まず安価に取引されている「大径材」を、糸島のワイナリーの構造材として活用する提案です。市場で切り捨てられてきた大径材の生命力を、ワインの熟成と重ね合わせた空間として表現し、地域の林業循環を目指します。
ストーリーと空間の力強さが評価されました。実装に向けては、ブドウ畑の斜面といった実際の地形条件への対応や、クラウドファンディングをテストマーケティングとして活用する戦略的な視点がアドバイスされました。
提案6|
発酵建築 部屋から始まる微生物との共生
齋藤巧

キノコ栽培で用いられる「菌床」と菌糸体を活用し、免疫力を高める建材を開発するプロジェクトです。100%生分解性の建材による仮設空間を都市に展開し、現代人が失いつつある微生物との接触機会を創出します。
講評では、極めて独創的な研究として注目されましたが、有機的な素材ゆえの「不気味さ」をどうデザインで解決するか、また健康効果などの科学的根拠について専門家と連携し、説得力を高める必要性が強調されました。
提案7|BeCAT × 九州大学応用化学部門
九州大学発メタノール生成研究の展示ブース
TRANSLATING CHEMICAL RESEARCH INTO SPACE -A Geodesic Exhibition Pavilion Based on Material Refinement-
Mulaku Festim

竹や甲殻類の殻などのバイオマスからエタノールを生成する、九州大学の革新的な研究内容を可視化する展示ブースの提案です。化学式を想起させる六角形をモチーフとしたデザインで、アルミパイプとリサイクル素材からなる3Dジョイントと和紙で作成し、科学的な知見を社会に届けるショーケースを目指します。
講評では、非常にシンプルで画期的な反応を用いた科学的なアプローチが独創的であると評価されました。一方で、専門的な内容を一般の人々に届けるためには、単なる技術展示を超えた「共感を生む美しさ」や「体験の質」をさらに追求すべきとの指摘がありました。
BeCAT 2025 秋学期企画提案スタジオ最終発表会
日時|2026年1月8日 15時〜18時30分
場所|伊都キャンパスイースト1号館A-215教室
参加教員|重松象平、末廣香織、末光弘和、吉良森子、出水文二、百枝優
設計助手|楠元彩乃、井田久遠

スタジオスケジュール
10/29 (wed) ガイダンス
11/5 (wed) レクチャー
11/6 (thu) ビジネスピッチ見学 @ONE FUKUOKA. BLDG
11/12 (wed) エスキス
11/19 (wed) エスキス
11/26 (wed) 中間講評会
12/3 (wed) エスキス
12/10 (wed) エスキス
12/17 (wed) エスキス
12/24 (wed) エスキス
1/8 (thu) 最終講評会・企画発表会